2024年、ついに物流2024年問題が現実のものとなりました。 4月から多くの物流会社で値上げが実施され、荷物の料金が大幅に上昇しています。これは、人件費や燃料費の高騰によるもので、物流業界全体に波及しています。
値上げは消費者にも直接的な影響を与え、日用品や食料品の価格上昇、ネット通販送料の値上げなど、私たちの生活に大きな変化をもたらしています。
しかし、値上げは避けられないのでしょうか?
企業は様々な取り組みで効率化を図り、消費者も買い物の習慣を見直すことで、負担を軽減することができます。
物流2024年問題を理解し、持続可能な物流システムの構築に貢献しましょう。
そもそも2024年問題とは?
2024年4月1日、長年の課題であったトラックドライバーの過酷な労働環境改善に向け、自動車運転業務における年間時間外労働の上限が960時間に制限されました。
これは、長時間労働による健康被害や事故リスクを軽減し、働き方改革を実現するための重要な一歩です。
しかし、この規制は同時に、物流業界全体に大きな影響を与える「物流の2024年問題」と呼ばれる課題も生み出しています。
★2024年問題について詳しくはこちらの記事をご覧ください!
配送料の値上げへの対策~各企業の取り組み~
ここからは、配送料の値上げに対しての各企業の取り組みについて紹介していきます。
ローソン(株式会社ローソン)
コンビニエンスストアの大手企業であるローソンは、昨年12月から段階的に、弁当やサンドイッチなどの配送回数を1日3回から2回に減らす取り組みを実施しています。
この配送回数の削減により、トラックが稼働しない時間帯を有効活用するために、4月6日以降、飲食チェーンの「ワタミ」が提供する食事宅配サービスの配送業務を引き受けることになりました。
ファミリーマート(株式会社ファミリーマート)
ファミリーマートは、今年の2月上旬から、飲料大手である「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」と連携して、神奈川県内の一部地域で、コンビニ店舗に商品を供給する試みを開始しました。
これは、既存の配送ネットワークを活用したコスト削減につながる取り組みです。
ユニ・チャーム(ユニ・チャーム株式会社)
大手日用品メーカーであるユニ・チャームは、成人向けの紙パンツに関して、従来と同じ内容量を保ちながら、約10%ほどの圧縮技術を開発しました。
この技術により、年間で約10トントラック、およそ1000台分の輸送量を削減を目指しています。
これらの取り組みは、単にコスト削減にとどまらず、新たなビジネスチャンスの創出や環境負荷低減など、様々な効果を生み出す可能性を秘めています。
配送料の値上げの具体例とその影響
ここからは、具体的な値上げの例と、値上げによる影響について詳しく説明していきます。
郵便局(日本郵便株式会社)
2024年秋には、郵便料金自体が改訂される予定です。
💡2024年秋 郵便料金改定表(予定)
郵便物 | 現行料金 | 改定後料金(予定) | 引き上げ幅 | 改定時期(予定) |
はがき | 63円 | 85円 | +22円 | 2024年秋 |
封書(25g以下) | 84円 | 110円 | +26円 | 2024年秋 |
封書(50g以下) | 94円 | 110円 | +16円 | 2024年秋 |
封書が30年値上げされなかった理由とは? 数年前にはがきの料金が改訂されたにも関わらず、封書の料金が30年も値上げされていませんでした。 その理由は、25g以内の定形郵便物に関しては、上限額が84円と郵便法(第23条)で規定されているからです。 この規定は国民の負担や物価を考慮したものなのですが、値上げするためにはこの郵便法を改正する必要がありました。 この改正案は2024年3月7日に、総務相の諮問機関である郵政行政審議会で承認されました。 そのため、秋には封書を含めた郵便料金の値上げが行われる予定です。 |
ゆうパックの改正
2024年問題の影響により、トラックドライバーの不足が深刻化しており、このまま何も対策を講じなければ、2024年には日本の物流の約14%が運べなくなる「物流危機」が懸念されています。
この物流機器への対応として、2024年4月1日からゆうパックと速達郵便物の一部地域のお届け日数が見直されます。
一般の郵便物やゆうパケット、クリックポスト、レタックス、書留、簡易書留などについては、変更はありません。
また、配達担当者の業務負荷軽減のため、2024年10月1日より、ゆうパックの配達希望時間帯から「20時-21時」の区分が廃止されます。
これにより、現在の7区分から6区分に変更となります。
💡ゆうパックの配達希望時間帯「20 時-21 時」の廃止について
2024 年 10 月 1 日以降 6 区分に変わります! |
午前 |
12 時-14 時 |
14 時-16 時 |
16 時-18 時 |
18 時-20 時 |
19 時-21 時 |
✖20 時-21 時 ←ここが廃止されます!) |
これらの変更は、物流危機を乗り越え、安定した郵便サービスを提供するために必要な措置です。
※詳細情報は、日本郵便ホームページにてご確認ください
佐川急便(佐川急便株式会社)
佐川急便は、2024年4月1日付で、宅配便届出運賃等の改定を決定しました。
💡佐川急便 2024年4月1日からの料金改定表
サービス | 改定内容 |
飛脚宅配便 | 平均7%程度値上げ |
飛脚特定信書便 | 平均5%程度値上げ |
飛脚クール便付加料金 (140サイズ(30kg)のみ) | 220円値上げ |
飛脚国際宅配便 | 平均6%程度値上げ |
飛脚宅配便
飛脚宅配便は、佐川急便が提供する、翌日配送と時間帯指定が可能な宅配便サービスです。
◎飛脚宅急便の特徴
・翌日配送: 全国主要都市へ、翌日に荷物を届けることができます。
・時間帯指定: 午前中、12時〜14時、14時〜16時、16時〜18時、18時〜20時、19時〜21時の6つの時間帯から、荷物の受け取り時間帯を指定することができます。
・3辺合計160cm以内、重量30kg以内の荷物を送ることができます。
・追跡サービス: 荷物の配送状況をインターネットで追跡することができます。
・代金引換: 荷物の代金を、配達時に現金で受け取ることができます。
・各種オプション: 荷物の保険や、日曜・祝日の配達など、様々なオプションサービスを利用することができます。
飛脚特定信書便
飛脚特定信書便は、佐川急便が提供する、信書便を翌日配送するサービスです。
◎飛脚特定信書便の特徴
・翌日配送: 全国主要都市へ、翌日に信書便を届けることができます。
・追跡サービス: 荷物の配送状況をインターネットで追跡することができます。
・代金引換: 信書便の代金を、配達時に現金で受け取ることができます。
・各種オプション: 荷物の保険や、日曜・祝日の配達など、様々なオプションサービスを利用することができます。
飛脚クール便付加料金(140サイズ(30kg)のみ)
飛脚クール便付加料金(140サイズ(30kg)のみ)は、佐川急便が提供するクール便サービスにおける、140サイズ(30kg)の荷物にのみ適用される追加料金です。
・2024年4月1日より、220円値上げ
・値上げ後の料金は、1,100円
・対象となる荷物は、3辺合計140cm以内、重量30kg以内のクール便荷
飛脚国際宅配便
飛脚国際宅配便は、佐川急便が提供する、世界220以上の国・地域へ荷物をドア・ツー・ドアで配送する国際宅配サービスです。
◎特徴
・世界220以上の国・地域へ配送
・翌日配送から約7日後までの配送時間帯指定が可能
・重量0.5kg単位で料金設定
・荷物の追跡サービス
・各種オプションサービス
ヤマト運輸(ヤマト運輸株式会社)
ヤマト運輸は、通常の宅配便だけでなく、クール便やゴルフバッグなどのサービス料金を平均で約2%引き上げると発表しました。
これらの値上げの理由として、燃料価格の上昇や2024年問題への対応が挙げられます。また、下請け企業を含めた従業員の待遇改善も、値上げの背景にあります。
両社ともに、今後も定期的に料金を見直す方針であり、これは2年連続の値上げとなります。
ZOZOTOWN(株式会社ZOZO)
ファッション通販の主要企業である「ZOZO」も同様に、運営する通販サイトにおいて送料を引き上げる措置を取りました。
これにより、注文にかかわらず・・・
250円⇒330円 に送料が改定されました。
同社によれば、商品の配送は主に大手運送業者に委託されており、物流の課題である「2024年問題」などの背景から、運送業者からの値上げ要請に対応するためにこの決定を下したと述べています。
メルカリ(株式会社メルカリ)
「メルカリ」は、首都圏の一部地域で、不在時にも玄関先などに荷物を届ける「置き配」を行うプランを導入しました。さらに、全国的に利用可能なその他のプランについても、利用者が受け取り方法を選択する際に、「置き配」を基本として提示するようにしました。
これらの対応は、再配達を可能な限り削減し、ドライバーの負担を軽減することを目的としています。
Amazon(Amazon.co.jp)
Amazonは2024年3月29日から、通常配送の無料条件を
2000円⇒3500円 に引き上げることを発表しました。
これまでは、注文金額が2000円以上であれば通常配送料が無料でしたが、
2024年3月29日以降は3500円以上の注文金額が必要となります。
💡Amazon 配送料金の変遷まとめ
時期 | 配送料金 | 条件 |
2010年~2012年末 | 全商品通常配送料無料 | – |
2012年末~2016年 | 一部の低価格商品 | 注文合計金額が2500円以上 |
2016年~2024年3月28日 | 通常配送 | 注文金額が2000円以上 |
2024年3月29日~ | 通常配送 | 注文金額が3500円以上 |
なお、3月29日以降、3500円以上の注文でもお急ぎ便やお届け日時指定便など通常配送以外は別途配送料がかかります。ただし、Amazonプライム会員やPrime Student会員は、配送オプションにかかわらず配送料は無料です。
まとめ
2024年問題による物流業界の混乱は、私たちの生活に大きな影響を与えようとしています。
この記事では、4月からの配送料金情報や、企業の取り組み、私たちにできることをまとめました。
値上げは避けられない
佐川急便やヤマト運輸など主要な宅配業者はすでに値上げを実施しており、今後も定期的な料金見直しが行われる見込みです。
これは、燃料価格の上昇や2024年問題への対応、従業員の待遇改善などが背景にあります。
企業の努力
配送効率化に向けた企業の取り組みは様々です。
ローソンは配送回数の削減、ファミリーマートは飲料メーカーの配送ネットワーク活用、ユニ・チャームは紙パンツの圧縮技術開発など、創意工夫を凝らしています。
私たちにできること
配送料の値上げは避けられない状況ですが、私たちひとりひとりの公道が物流業界を支え、未来を変える力になります。
◎私たちにできることは・・・ ・買い物のまとめ買い ・配達時間の融通 ・置き配の活用 ・梱包資材の削減 ・地域の物流を支える企業への応援 |
値上げは決して喜ばしいことではありません。しかし、私たち一人ひとりの行動が、物流業界を支え、持続可能な社会を実現する力になるのです。
今日からできることから始めてみませんか?
★2024年6月からのトラック運賃値上げについて・こちらの記事をご覧ください!
2024年問題に関することについて調べていると、日常生活における配送関係にも影響があることを知り、情報発信の重要性をとても感じました。