あなたは、「IATA(イアタ)」という言葉を聞いたことはありますか?
聞きなれないこの言葉ですが、実はIATAは、国際物流や航空業界において重要な役割を果たしているんです。
本記事では、IATAの概要、活動内容、加盟航空会社のメリット・デメリット、IATAの役割について詳しく解説します。
そもそもIATA(イアタ)ってなに?
IATA(国際航空運送協会:International Air Transport Association)は、1945年にキューバのハバナで設立された国際的な航空業界団体です。
カナダのモントリオールとスイスのジュネーブを拠点に、国際線を運航する民間航空会社や旅行会社などで構成されています。
現在では、世界120カ国以上の航空会社290社が加盟し、国際航空輸送の円滑化と発展に貢献しています。
IATAに日本から加盟しているのは以下の4社
日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、日本貨物航空(NCA)、日本トランスオーシャン航空(JTA)
IATA(イアタ)の役割
IATAは、国際航空輸送の円滑化と発展において重要な役割を果たしています。
主な役割は・・・
- 航空運賃(IATA-PEX)の設定、発券
- 運用ルール等の決定
- 運航スケジュールの調整
- 空港コードや航空会社コードの統一
- 航空輸送における危険物輸送の規制などです。
IATAは3レターコードの発行も行っています。
日本国内の3レターコードの例としては、NRT(成田空港)、HND(羽田空港)、KIX(関西国際空港)などがあります。
3レターコードとは・・・任意のアルファベット3文字の組み合わせで表される略号で識別コード。 3レターでの略号は様々な業界で用いられているが、航空・旅行業界で使われる場合は主に国際航空運送協会(IATA)によって定められた空港コードおよび都市コードである。 例)TYO→東京、HND→羽田空港 |
IATAの活動によって、航空運賃はより透明性が高くなり、航空保安基準はより厳格になり、航空貨物の取り扱いはより効率化されています。
また、IATAは航空業界の広報活動も行い、航空利用の促進に貢献しています。
IATAの活動内容
ここからはIATAの活動内容について見てみましょう。
航空運賃(IATA-PEX)の設定、発券
IATA-PEX(イアタペックス)は、IATAが定める標準的な航空運賃体系です。IATA加盟の航空会社は、原則としてIATA-PEXに基づいて旅客運賃を設定・発券します。
IATA-PEXの目的
透明性の高い運賃体系の構築:
IATA-PEXに基づいて運賃を設定することで、旅客は航空会社間で運賃を比較しやすくなり、より適切な価格で航空券を購入することができます。
不当な競争の防止:
IATA-PEXは、航空会社間の不当な運賃競争を防ぎ、航空業界全体の健全な発展を促進する役割を果たします。
航空会社の収益確保:
IATA-PEXは、航空会社が適切な収益を確保できるように設定されています。
★IATA-PEXは、以下の要素に基づいて設定されています。
- 出発地と到着地: 距離が長いほど運賃は高くなります。
- 搭乗クラス: エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスなどのクラスによって運賃は異なります。
- 時期: 繁忙期は閑散期よりも運賃が高くなります。
- 航空会社: 航空会社によって運賃は異なります。
安全基準の策定と遵守
航空輸送における運用ルールは、安全運航を確保するために必要不可欠です。
これらのルールは、IATAや各国の航空当局によって定められています。
主な運用ルール
航空機運航の安全基準:
航空機の設計、製造、整備、運航などに関する安全基準です。
航空保安基準:
空港や航空機における保安対策に関する基準です。
航空交通管制:
航空機が安全かつ効率的に飛行するために必要な交通管制に関する規則です。
航空貨物の取り扱いに関する規則:
航空貨物の輸送における安全確保のための規則です。
運航スケジュールの調整
運航スケジュールは、航空会社にとって重要な経営資源の一つです。航空会社は、需要を予測し、それに応じて運航スケジュールを調整する必要があります。
運航スケジュール調整の目的
需要への対応:
需要が高い路線には増便し、需要が低い路線には減便することで、収益を最大化できます。
競合航空会社との差別化:
競合航空会社と異なる時間帯に運航することで、旅客を獲得することができます。
空港の滑走路容量の確保:
空港の滑走路容量が限られている場合は、運航スケジュールを調整することで、滑走路の利用効率を最大化することができます。
★運航スケジュール調整の仕組み
- 需要を予測する
- 競合航空会社の運航スケジュールを分析する
- 空港の滑走路容量を確認する
- 希望通りの運航スケジュールを策定する
- 航空当局に運航スケジュールの変更を申請する
- 関係者と調整する
- 運航スケジュールを確定する
空港コードや航空会社コードの統一
空港コードと航空会社コードは、航空輸送における識別コードです。これらのコードは、IATAによって統一されています。
空港コード
空港コードは、3文字または4文字のアルファベットで構成されています。例えば、東京国際空港(羽田空港)の空港コードは「HND」、成田国際空港の空港コードは「NRT」です。
航空会社コード
航空会社コードは、2文字または3文字のアルファベットで構成されています。例えば、日本航空の航空会社コードは「JL」、全日本空輸の航空会社コードは「NH」です。
IATA加盟航空会社のメリットとデメリット
IATAに加盟している航空会社には、以下のメリットがあります。
メリット ◎国際的な航空輸送ネットワークへのアクセス IATAのネットワークを通じて、世界中の航空会社と連携することができます。これは、国際線の運航や共同運航の機会を拡大し、旅客や荷主にとってより便利なサービスを提供できることを意味します。 ◎IATAの各種サービスの利用 航空運賃の決定、航空券の発券、航空保安基準の設定など、IATAが提供する各種サービスを利用することができます。これにより、航空会社の業務効率化やコスト削減につながります。 ◎航空業界の最新情報へのアクセス IATAを通じて、航空業界の最新情報を入手することができます。これは、競争環境の変化や新しい技術の動向を把握し、適切な経営戦略を策定するのに役立ちます。 ◎航空業界の意思決定過程への参加 IATAの意思決定過程に参加することができます。これは、航空業界のルールや基準作りに影響を与えることができ、イアタの活動内容を自社の利益に合致させることができます。 |
IATAに加盟している航空会社には、以下のデメリットがあります。
デメリット ◎年会費の支払い IATAに加盟するためには、毎年年会費を支払う必要があります。年会費は、航空会社の規模によって異なりますが、数百万ドルから数千万円程度です。 ◎IATAの規則の遵守 IATAの規則を遵守する必要があります。IATAの規則は、航空運賃、航空保安、航空貨物取り扱いなど、様々な分野を網羅しており、航空会社はこれらの規則を遵守するために一定のコストを負担する必要があります。 ◎IATAの意思決定過程への影響力 IATAの意思決定過程への影響力は、航空会社の規模によって異なります。一般的に、大規模な航空会社の方が、IATAの意思決定過程において強い影響力を持っています。 |
まとめ
IATA(イアタ)は世界の航空運輸関連企業の団体で、世界中の航空会社や旅行会社などで構成されています。安全かつ確実な国際航空運送を目的とし、航空運賃の策定や発券などの業務をはじめ、航空業界の重要な根幹部分を担っているのです。
今後は、LCC台頭、持続可能性、サイバーセキュリティ、グローバル化などの課題に取り組んでいくことが期待されます。
国際航空輸送におけるIATA(イアタ)の重要な役割を改めて認識しました。また、IATAが設定する航空運賃体系や運航スケジュール調整などの活動は、航空業界全体の効率化と旅客利便性の向上に大きく貢献していると感じました。