近年、EC市場の成長に伴い、物流業界も大きく変化しています。特に、「ラストワンマイル」と呼ばれる配送先への最終的な届け方についてはさまざまな工夫が凝らされています。

物流センターは、一般的に「DC」「TC」「PDC」「デポ」「配送センター」の5つのカテゴリに区分されます。その中で注目されているのが、「デポ」と呼ばれる小型の物流拠点です。

本記事では、5つの種類のうちの「デポ」に着目を当てて解説して参ります。

物流センターの種類と役割

物流センター内の倉庫の荷物がラックに沢山積み重なっている画像

 物流センターは、商品を保管・管理するだけでなく商品の出荷準備や配送までを一括して行う重要な拠点です。倉庫と異なり、単に商品を保管するだけでなく商品の動きを効率化することで、物流全体の円滑化に貢献します。

デポとは?

 デポは、物流における重要な役割を担う小型物流拠点です。荷物の仕分けと配送、ラストワンマイルの効率化、付加価値サービスの提供などさまざまな機能を提供しています。

デポは、配送センターと連携することでより効率的で高品質な物流を実現することができます。

デポは、配送センターよりもコンパクトな拠点であり通常は少量の在庫を保持します。
主に、卸売業者などへの頻繁な配送を行うための拠点として機能します。

デポの主な役割

 デポは、物流における重要な役割を担う小型物流拠点です。主な役割は以下の3つが挙げられます。

荷物の仕分けと配送

 トラック輸送などで入荷した荷物を、配送先ごとに仕分けし軽自動車や原付、軽車両などの小型車両で配送します。

デポは地域ごとに設置されるため、配送先までの距離が短縮されリードタイム(商品を受注してから届けるまでの期間)の短縮と配送コストの削減が期待できます。

ラストワンマイルの効率化

 ラストワンマイルとは、配送の最終段階の消費者に商品を届けるまでの区間を指します。デポは、ラストワンマイルの拠点として以下の点で効率化に貢献します。

・配送先の近くに設置することで、配送距離を短縮
・小型車両を使うことで、狭い路地や渋滞を回避
・時間帯や曜日に合わせた柔軟な配送が可能

ラストワンマイルについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

その他の付加価値サービス

 デポによっては、以下のような付加価値サービスを提供しているところもあります。

・荷物の代引き
・簡易な組立・設置
・商品の返品・交換受付

デポの多様な運用形態

 デポにおける「貨物軽自動車運送事業」は、他の物流センターと比較して、柔軟性に富んでいます。
これにより、複数の運用方法が可能です。まず、デポは配送の最終拠点として運用されることがあります。

大規模な物流センターではなく小規模な拠点でありながら、事業用自動車の数や運行管理者の必要性が低い場合、貨物軽自動車運送事業者が活躍します。

特に都心部では、大型拠点の設置が難しいため、デポの小型拠点が重要です。

また、個人事業主としての運用も可能です。貨物軽自動車運送事業は、運行管理者の設置が不要であり、
自宅を営業所として利用できるため一人での開業が可能です。

個人事業主ドライバーは、物流拠点との契約により荷物の回収と配送を行います。

さらに、専門の貨物軽自動車運送事業会社としても運用されます。個人事業主が事業の拡大を図るために、駐車場を借りたり、追加の車両を購入したりすることができます。

営業所の近くであれば、営業所の駐車場を使用せずとも、運送事業を展開することが可能です。

デポにおける物流業務の効率化

 近年、デポにおける物流業務の効率化が求められています。そのために、以下のような取り組みが推進されています。

自動化・省人化自動仕分け機やロボットなどを導入し、人手に頼らない作業を増やすこと
情報共有メーカーやサプライヤーと情報を共有し、入荷状況や配送スケジュールを最適化すること
データ分析荷物の動きや配送状況などを分析し、業務改善につなげること

これらの取り組みによって、デポにおける物流業務の効率化が進み、より迅速かつ正確な配送を実現することが期待されています。

デポにおける物流業務は、物流全体の円滑な運営を支える重要な役割を担っています。各ステップにおける業務内容を理解し、効率化を図ることで、物流全体の質向上に貢献することができます。

物流センターの規模と拠点数

・デポよりも大規模
・拠点数はデポよりも少ない

項目デポ物流センター
役割ラストワンマイルの配送商品の受入、保管、出荷
機能商品の仕分けと配送、在庫管理(限定的)、流通加工(簡易なもののみ)商品の受入、保管、出荷、在庫管理、流通加工、返品商品の受付・処理、梱包・ラベリング
規模小規模大規模
拠点数数多い少ない
強み迅速な配送高度な在庫管理、流通加工
弱み在庫管理機能が限定的、流通加工機能が限定的規模が大きい、初期投資コストが高い
活用シーンネットショップの当日配送、時間帯指定配送、食品・医薬品の配送、災害時の緊急物資配送家電量販店、自動車メーカー、大手EC事業者

まとめ

物流センターの倉庫内でラックに荷物が乗っている背景。左側に女性、右手に男性が立っていて二人で親指を立ててグットマークをこちらにしている画像

 デポは、荷物仕分けと配送の効率化、ラストワンマイルの効率化、付加価値サービスの提供など、物流におけるさまざまな課題を解決するソリューションとして注目されています。

今後は、デポと配送センターの連携がますます重要になると考えられます。

★物流センターの役割についてはこちらの記事をご覧ください!

筆者の感想

記事を執筆するにあたり、デポが物流の効率化やコスト削減に大きく貢献していることがわかりました。また、近年ではEC市場の成長やラストワンマイルの効率化へのニーズの高まりから、デポの重要性が高まっていることもわかりました。本記事を通して、デポの役割や重要性について多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。